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| 最近はネット販売に力を入れ、「アマゾン」や「スーパー源氏」などの本のサイトに登録している |
片や「売れない」「はやらない」「もうからない」が三大方針という郷土史本専門書店。片や発行部数がせいぜい数百部というマイナーな郷土史本の出版社。この二つを一人で切り盛りしているのが、一宮市在住の舟橋武志さん(64歳)。その舟橋さんに「もうからない」出版や「客の来ない」書店経営に取り組む理由について聞いてみた。
舟橋さんは岩倉出身。大学卒業後、名古屋タイムズ記者などを経て1971年に独立。名古屋で仲間たちとタウン誌を発行する。しかし、これは3号であえなく休刊してしまう。
その後は、編集代行業務などを手がけながら出版の道を模索。こうして78年、地元の歴史をまとめた『名古屋いまむかし』を出版した。以後「好きな郷土史を中心とした出版にハマっていく」ことになる。
しかし「出版はもうからない」。これまでに約200点ほど出版してきたが、「全点在庫あり」が自慢(?)。そのため「『本は売れない』という前提で出版に取り組むようになった」という。コスト削減のため、発行部数も500部ほどに限定(最近では200部ほど)。さらに版下作成から印刷まで、ほとんどの工程を外注せずに自分でやるようにした。
いずれも手探りで試行錯誤の連続。しかし「資金繰りなど苦労も多いけど、自分の好きなことを自分の意志でやっていけるのは、サラリーマン時代には味わえなかった喜び」でもあった。
この間の事情は、自らの悪戦苦闘の出版体験をおもしろおかしくつづった『出版デスマッチはムセーゲン』『出版バトルロイヤルのゴングは鳴った』(いずれもマイタウン刊)にくわしい。借金などと闘いながらの奮闘ぶりは、涙なし(?)には読めない。
「出版がうまくいかなくて81年からは書店も始めました。最初は事務所の片隅に、自分のところで出した本を置く程度でしたがね」
やがて扱う本の点数も増え、広いスペースの場所に移転。本格的に書店に取り組むようになった。しかし置く本は、自費出版やマイナーな郷土史など、一般の書店では嫌われる売れそうにないものばかり。当然、売れない。客も来ない。
「最初は毎日営業してたんだけど、お客が一人も来ない日が大半。それで営業日がどんどん減り、とうとう週2日、しかも一日4時間だけの営業になってしまった」という。この当時の様子は、『本の雑誌』に「名古屋の書店『マイタウン』は週休5日だった!」と取り上げられたほどだ。そんな書店だったが「やってみておもしろいことがわかりました。店に来る本好きのお客との会話も楽しいしね」。
しかし、この店も家賃が負担となって撤退。一年ほど前に、家賃の安い現在の場所へ移転した。同時に品ぞろえを古書にしぼり、インターネットでの販売に力を入れ始めた。
「場所が不便になって、さらにお客が来なくなった」のがその理由だが、やってみると「ネットには大きな可能性があることがわかった」という。「情報が先行するため、これまで売れなかったマイナーな本が売りやすくなった」のだ。
舟橋さんは「古書店は本が好きな人ならうってつけの商売。しかも店舗のいらないネット古書店なら、お金がなくても始められます」と、その魅力を力説する。そして「もうからないけど、遊びが仕事になります。やっぱり好きなことをやるのがイチバンですよ」とニッコリ笑うのであった。